08.12.15 月 | 01:57
コーチングドラマ 「高知 護」 第二回
1分ほどの沈黙の後、
葵が思い切ったように話し始めた。
「私が態度を変えるしか、
ないんですね。やっぱり」
高知は言葉は発せずに、
表情で承認を表した。
「何となくわかってはいたけれど、
あまり自分で認めたくなかったのよね。
でも・・・部長は変わらないんですよ。
本社からも気にいられているんです。
あの人の異動を待とうかとも思ったけれど
それはまだまだ・・・当分先だわ。
そんなに何年も待てないもの」
「そう。それで?」
「私が変わるしかないのね。
なんか悔しいなぁ」
「悔しいんだね」
「・・・いや、大丈夫。
やります。
もう少し態度を変えてみる」
「自分の態度を変えようと、
葵さん、思ったんだね。
どんなふうに変えたいんですか?」
「そうね・・・
今はね、すごく冷たいの、私。
部長が来るとついついとげとげしい口調で、
いろいろ言ってしまったり。
態度がぞんざいになったり。
部長に聞かれて、本当は知っているのに、
わざと知らないふりしていたり。
だって馬鹿みたいな質問ばかりしてくるんだもの。
私、何でもスマートなのが好きなの。
部長は効率が悪くて、イライラして腹が立って来る!」
「そうか、部長は葵さんとは真反対なんだ。
そんな状況の中でよく頑張っているね」
「あ・・・でも、私が変わらなきゃ」
「葵さんは向上心がすごいね」
「う~ん。。。できるかなぁ。
でも今回はもうどうにもならないから、
頑張ってみるわ」
「僕も応援しますよ」
「ありがとう!
で、そうそう、どんなふうに
したいのか・・って言うとね、
そうねぇ。今すごく強い口調で、
イライラして対応しているから・・・
もっと淡々と・・・話そうかしら」
「そう、淡々と・・・ね」
「そうよ。部長を人と思わず、
私に頼んできたことの事実だけを見て、
それに対応すればいいのよね。
そうすれば腹も立たないし。
感情は一切捨てて、淡々と、
『はい、はい』って。
そうだわ。そうしよう」
「なるほどね。他にはもっとこうしたい、
っていうようなこと、ありますか?」
「そうね・・・
一番嫌なのは、お客様のところへ訪問するのも、
本当は部長からお客様に連絡して、
アポ取って、まわるのが筋だと思うんだけれど、
私が言い出さなければ絶対にやらないの。
今までは私もわかっていて、
私からは言わなかったんだけれど、
これからは私から言うようにする。
『○○社にいつ訪問しましょうか?
よろしければ私から○○社の営業の人に、
連絡してアポとっておきましょうか?』
って、まあ、このぐらいは言ってもいいわ」
「葵さん、すごい前進ですね。
葵さんの方から言ってあげるんですね」
「これも仕方ないけれど、割り切って」
「その他に、何かやってみよう、って
思う新しいことは何です?」
「え・・・と。そうねぇ・・・
挨拶を、しようかな。
今まで、部長が朝来ると、
わざと電話したり、席をはずしたりして、
挨拶しないでも済むような状況を作ってかも。
これからは、朝の挨拶ぐらいは、
笑顔で『おはようございます』って
言おうかな・・・」
「これもまた、大きな変化ですね。
すごいな、葵さん」
「しょうがないもの。大サービス(笑)」
「あとは、もっと変えたいこと、ある?」
「そうね。今のところ思いつくのは
これくらいかしら」
「ええ、もうずいぶん具体的なことが、
たくさん出ましたからね。
また思いついたら途中でも言ってください」
「はい。そうします」
「葵さんは、部長への態度を
これからもっと変えたいと思っていて、
それは具体的には、イライラせず淡々と話し、
そして率先して『やりましょうか?』と
自分から提案をしたり、
あるいは挨拶を笑顔で言う、
と、僕は理解したんだけれどそれで合っているかな?」
「ええ。そう言ったし、そう思ったわ。
でも・・・実行するのは、
やっぱりちょっと難しそうね」
葵はちょっと苦笑しながら言った。
「そうか。実行するのはちょっと難しそうなんですね。
じゃあ、もしも葵さんにどんな能力とか、
スキルとか、どんなものでもいいんだけれど、
葵さんの中に何があったら、
実行が可能になるかな?」
「そりゃあ、コミュニケーション・スキルですよね」
「そうですか。
コミュニケーション・スキルですね。
それがもっとあったら、
葵さんはさっき僕に話してくれた、
望ましい態度をとることができそうなんですね」
「ええ。そう思うわ」
「ところで数あるスキルの中で、
コミュニケーションスキルを
選んだっていうことは、
それは葵さんが何か価値観のようなものを
持っているからかもしれないですね。
それって何だと思います?」
「・・・・・・」
「いいですよ。ゆっくり考えてください」
「・・・・思いやり、だと思う」
「葵さんは思いやり、をすごく大切に
している人、なんですね」
「ええ。そうです」
普段クールで合理的な葵から、
思いやりという意外な価値観が出てきて、
高知は、人間本来の善良さを感じていた。
そして価値観を超えたところの、
葵のアイデンティティや、ビジョンを、
ここからのセッションで
訊いていこう、と確信した。
つづく
08.11.15 土 | 00:02
今日のコーチ 第2回: 斎木茉里さん
「100万人のビジネス・コーチング」第4号 掲載
(2008年11月15日発行)
★ 今日のコーチ ★
前回に引き続き、コーチングを学び、
そしてその学びを、コーチとして、
実践している方を紹介していきます。
ビジネスコーチというと、
男性のイメージがあるかもしれませんが、
女性のビジネスコーチも多く活躍しています。
女性のコーチで今、もっとも輝いている1人を
今日はご紹介致します。
いつものように、できるだけ生の対話を
そのままお伝えしたいと思っておりますので、
文体は会話体、そして少しボリュームがあります。
斎木 茉里さん
都内にある某財団法人に勤務。
PHP認定ビジネスコーチ
米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー
私はPHPのビジネスコーチ養成講座の修了生で、
斎木さんも同じ講座の修了生です。
彼女とは3年ほど前、彼女が受講していた期の
ビジネスコーチ養成講座を
私が再受講したときに知り合いました。
以来何度も勉強会で一緒に学び、
そのうちに自然と仲良くなり、
今ではすっかり私の相棒的存在です。
彼女のよさは精神の自由さと旺盛な好奇心。
それがコーチング・セッションの根底に流れていて、
クライアントに精神的な開放感を見事に味わわせています。
また斎木さんは人一倍熱心な学習者で、
様々な勉強会に頻繁に顔を出し、
その実力からは想像できないほど謙虚な気持ちで
常に自分の技術やあり方に磨きをかけています。
今回彼女にインタビューをして、
その成長が本当に伝わってきました。
そして私ももっと成長したいなぁと、
モチベーションも起こりました。
さて、みなさんはこのインタビューから、
どんな刺激を受けるのでしょうか。
読み応え十分なインタビュー記録を、
どうぞお楽しみ下さい。
以下会話中、斎木さん→斎(敬称略)、城田→城、となります。
城 斎木さんが今、行っているコーチングは、
いつ、どんなところ、どんな環境で、
誰に対して実践しているんですか?
斎 私の場合は、会社が終わったあと、
平日の五時過ぎっていう場合が多いですね。
会社の最寄駅の喫茶店複数を使い分けてる。
クライアントはね、社内の人とか、
社外では会社員や研修の仕事をしてる人。
少ないです。
城 そういう人たちに会社が終わったあと
基本的には5時過ぎに、喫茶店で、
コーチングをしているのね。
斎木さんはコーチングを始めたのはいつだっけ?
斎 3年前の2005年。
PHPのビジネスコーチ養成講座
ベーシックコースの第1日目は7月末だった。
城 懐かしいね。
斎 もう3年も経っちゃった・・・。
城 そうか・・・3年前にコーチングを始める前と、
3年学習した今と、どんなことが変化した?
斎 う~ん、すごい劇的に変化した。
ものすごく劇的に、いろんなことが。
自分も変わったし、周りも変わったし・・・
自分が変わったので環境が変わったのかな。
城 なるほど。
斎 ていうのを劇的に体験した。
まず自分のことから言うと・・・
コーチングを勉強する前は、
あんまり自分のこと、大事にしてなかったなぁって。
なおざりにしてたって言うか、
ほったらかしにしてた、気がする。
そのときはあんまり自覚していなかったんだけど、
今振り返って考えるとね。
城 なるほど・・・おもしろいね。
斎 で、今は自分のことを大事にしてる、よね、前よりは。
自分にはリソースがあるっていうのを、
「はい、ありますね」って、ちゃんと認めてるし、自分で。
城 自分のリソースを自分で認めている・・・?
斎 認めることができるようになった。
今までは、人からほめられても
「いえ、いえ、いえ!」って。
城 いいリソースなのに。
斎 勿体ないよね(笑い)。
城 勿体ないね(笑い)。
斎 それが、「自分に自信がない」っていうことに
つながっているよね、必然的に。うん。
でも今は自分にはこういうリソースが
あるんだっていうのを、ちゃんと認めて、
「はい、そうですね、ありますね」って
言えるようになりましたね。
城 それって大きな変化だね。
斎 すごい大きい変化ですね。
あと、それに伴って自信と責任のようなものも。
城 あ~、そうか、セットなんだね。
斎 そう、セット、セット。
自分を自分で認めてあげないと
自信も出ないし、それに伴って責任も生まれない。
「このリソースを抱えた自分として
どういうふうに生きていくか」っていうふうな責任。
なーんにもなかったら責任なしでいいじゃない。
ぷーらぷらしてればいいんだから。
・・・ていうふうな変化が、自分の中であった。
それで、少し、落ち着けるようになった、精神的に。
城 落ちつけるようになったっていうのは?
斎 つまり物事や問題に「ガ~!」って首突っ込んで、
バタバタってしているんじゃなくて、
少しこう離れて、メタの立ち場から・・・
(注:メタは「○○を超えて・・」という意味。ここでは俯瞰するといった意味)
城 あ~、ちょっと客観的に、視点が?
斎 そう、客観的に、上のほうに行くようになった。
城 「全体的な視野が見れる」って ・・・ そういうこと?
斎 私は、以前から自分がバランスが
とれていないっていうのがとても気になっていて・・・
バランスがとれないっていうことは
やはり、その、すぐアソになってしまうわけよ。
(注: アソとは、アソシエーションの略。実体験と言う意味。
ここでは生々しく自分の身に起こったことのように感じてしまうこと)
城 あぁ・・・
斎 すぐもう、他人事でも「あぁ~~」って。
城 首、突っ込んじゃうわけね。
それで大変になっちゃう・・・
斎 大変になっちゃうっていうのも、
自分で気がついていて、
「もうちょっと客観的に物事を見ないとね」、
って分かっていたんだけど、
どうしていいか、やり方が分かんなかった。
城 で、コーチングをやって、
そうやって客観的に、少し距離間を持って、
見られるようになったっていうこと?
斎 と言うよりは、いつのまにか、
そういうふうになっていた。
城 じゃあ、コーチングによって
そういうふうにしようって思ったんじゃなくて・・・
斎 違う、違う。
城 自然に、コーチングを学習していて、
気がついたら、あ・・・変わってるって?
斎 前よりはね。
メタの立場に立つっていうのが
コーチでは大事だよね。
城 あぁ、そっか、そっか、そうだよね。
クライアントと一緒に問題に頭突っ込まないよね。
斎 そうそう、そういうこと。
ということで、「コーチとしての自分」
というのを考えた場合に、
「メタである」というのが私にとって
大事なキーワードとなって、
物事がバランスよく冷静に見られるようになった、
っていうおまけがついた気がします。
城 へ~・・・素晴らしい。
それはすごい変化だね。
斎 そうなの。
でもそれは1人じゃできなかった。
学ぶ友達、仲間、先輩、後輩がまわりにいっぱい・・・
まあ味方がいっぱいいるというか。
城 あぁ、いいね。
味方がいっぱいいるって。
斎 そう、しかもみんな対等なのね。
上から目線で「先輩だから俺が指導してやる」っていうんじゃなく、
つまり、弟子・師じゃなくて、
「みんな対等で、学んでいく仲間だよ」っていう関係が、
この世の中にあるというのを発見したわけね。
城 ふうん・・・
斎 だから、学びというのはそれぐらい深くて果てしなくて
「みんな、1人でカバンを持って、とととと・・・と行くんだね」っていう感じ。
城 ん? カバンを持って・・・?
斎 それはベーシックコースのときからの
(注:PHPビジネスコーチ養成講座ベーシック)
私の学びについてのイメージなのね。
学びの旅を自分のカバンを持って、
自分の、その重いカバンを持って、1人で歩く。
そういう人が何人か・・・
城 あ~、周りをみるとそういう人がいるわけね。
声をかけあったりして。
斎 そう、かけあうんだけど、
でも自分の荷物は自分で持ってるわけだ。
城 あ~、なるほど。
おんぶしたり、ではなくて、自分で荷物を持って・・・
斎 そう、カバンの形とか色はちがうんだけど、
で、いろんな山とか道とかあるんだけども、
みんなあるものを目指して、
行く仲間が何人かいるんだなぁって・・・
そういう関係性が学びっていうものであるんだなって。
そういう世界があるんだっていうのが
分かって面白かった。
城 斎木さんはそういうふうに
自分自身がすごい変わったわけじゃない?
バランスもとれるようになったし。
斎 前よりはね。まだまだだけど。
城 周りはどんなふうに変わった?
斎 周りというか、環境は変わったね。
まず一つは、学びの仲間がいる、という環境が
私にとっては得られたわけね。
そして声をかけてくださる方もね。
自分が落ち着けるようになった。
今まで自分の場所ってどこだろう、って
思ってた部分があるわけね。
それを自分で見つけたようなところがある。
今でもつらいことはあるんだけど、
ときどき「よく病気にならなかったなあ」ってくらい。
でも周りからは淡々として見えるみたい
城 淡々としてるって?
斎 あんまり「わーわー」言わず。
城 前は「わーわー」してたんだ。
斎 してたしてた。
城 だけど今はもう、「わーわー」言わなくなって、
落ち着いた感じになったのかな。
斎 実はまだまだだけど、私に対して
「淡々としてるなあ」という印象を
持っている人がいるみたいだって、
周りの反応を見てるとそう思うときがある。
それは前と変わった点じゃないかな。
城 周りも変わるんだね
今、コーチングを学んで3年くらい経って、
いろんな変化が自分の中に起こって、
周りにも起こって、実際にコーチングを
実践してると思うんだけど、
最近のコーチングの中で、
コーチングが機能したなっていうことってある?
斎 機能か知らないけど、
びっくりすることは毎回ある。
城 特に印象的だったのは?
差支えない程度で。
斎 そうですね、あのね、
セッションの間は別にまあ、
淡々と終わるじゃないですか。
それで次回、なんか変わってるの。
もうびっくりして(笑)
「え? え? えーっ?」って・・・
城 セッションが終わって、
その次のコーチングのときに、
現われたときに変わってるんだ・・・
斎 顔とかも変わるときあるし。
態度も「え? 何で急にやる気に?」みたいな(笑)
「何があったの?」って、も、びーっくりして・・・
前に尊敬する先輩に言われたんだけど、
「クライアントが勝手に成長してくれるから、
コーチングって楽よ」って。
「うそ~!?」って思ってたんだけど、
本当にそうで、びーっくりする。
城 へえぇ。
でもコーチングのセッションが終わって
クライアントの行動が、あるいは態度とか気持ちが
変わったっていうことだよね。
斎 コーチングがなんかの、ちっちゃい、
プッシュみたいなのにはなってるかもしれないけど。
城 刺激っていうか、きっかけみたいなね。
斎 でも、どうだか分かんない。
ただ毎回変わってるんで毎回驚いて、
一番最初から比べると、ものすごい変わってるわけ。
城 それは嬉しいね。
斎 嬉しいと同時に、素晴らしいと思うのね、人って。
城 こんなに変われるんだね。
斎 こんなに元気に、威勢よくなっちゃって(笑)。
「なんでですか?」って聞くわけにもいかず、
いや、ありがたいなぁ・・・って。
定期的なクライアントを初めて取ったとき、
毎回「失敗した~、失敗した~」ってへこんでたのね。
そうしたらある日突然クライアントが
「セッション楽しい」って。
すごい失敗してると思ったんで、
まさかそんな反応来ると思わなかった。
「毎回セッションが楽しみで」って言われたときに、
ほんと、分かんないもんだと。
だから、1回のセッションのことで
あんまり悩む必要なし。
コーチとして、セッションの進め方とか、
工夫する必要はあるけど、
それとクライアントの変化とは別のことだから。
城 そうね、投げたボールだからね。
斎 そう、投げたボールだから。
私は私で前進すればいいだけで。
城 まさにメタの立場だね、今のも。
斎 だから1回のセッションのことで
失敗、成功って言えないって思った。
城 自分では分からない。
斎 分かんない、分かんない。
すごい失敗したって思ったのに、
「あれがきっかけでちゃんと、なんとかなりました」
みたいに言われこともあるじゃない?
「だって、セッション中はそんな感じじゃなかったじゃない?」って。
城 いい驚き。それは嬉しい驚きだね。
斎 このことはね、
コーチングというものに対する信頼と
クライアントに対する信頼というものを
強くしてくれたんだと思う。
城 なるほど。いいなぁ、それ・・・(笑)
斎 な~に、言ってるの、先輩!
城 いくつも、毎回変化があるって言ってたけれど、
斎 ごめん、毎回なんて言っちゃった。
城 じゃ、複数・・・
斎 複数ね。
城 その中で特に印象的なものを
ふたつでも、みっつでも教えてくれる?
その変化が起きたコーチングの中で、
斎木さんが、意識してやっていることってある?
あるいは思い返してみて「あれ、やったからだな」
って言うのはある?
斎 そうね・・・今思うとね、
クライアントのあるがままの姿を
見ようとしていたかな。
特に最初のころ。
今は、「コーチングの時間は、クライアントが
自分と会話する時間だから邪魔しないように」って
いうのは気を付けてるんだけど。
城 大事だよね。
斎 「クライアントに気づきを与える」って
いうのは、自分の力ではできない、
私の力はまだそこまでいってないんで、
とにかく「あるがままのクライアントを受け入れて全面的に味方になる」と。
最初のころは、「それくらいしかできることないから」って。
城 今のは「コーチのあり方」みたいな感じだよね。
そういったあり方みたいなものでもいいんだけど、
斎木さんがコーチとして重要だと
思っているものってなあに?
斎 いっぱいあるよね
城 特に、力をこめてこれを・・って言うのは?
斎 「意図を持って言葉を発する」ことです。
コーチの言葉というのはすごい影響力があるから
言葉にはとても気をつけなければいけない、と。
これは田近先生(PHPの私たちのトレーナー)から教わったこと。
「コーチは言葉に敏感であれ」って。
前回、(注: 前回の「今日のコーチ」の対談)
山下さんも話されてたでしょ。
ほんと、そのとおりだと強く思う。
できないんだけどね。なかなか。
城 難しいよね。
意味のない発言みたいなものを
落としていくべきだね。
斎 削ぎ落したい。
相手からは自然に見えてるけど、
コーチは意図をもって、戦略的な
言葉と態度とを使っていきたいな、って
いうのはありますね。
城 その意図をもってコーチングをするとね、
どんないいことがあるの?
斎 お、メタ成果!
・・・どんないいことがあるんだろうね・・・。
そうやって言われるとよく分からないんだけど、
その意図というのによるんじゃない?
城 うん。
斎 そうね、まず一つは、セッションが
変な方向にそれない。
雑談っぽくならずに済む。
城 そうね。コーチングは雑談じゃないもんね。
斎 より、雑談ぽくならなくて済むっていうのがあると思いますね。
それでもって次の戦略が出せるかな。
うーん、難しいなあ・・・
でも、クライアントの大事な時間を
無駄に使わずにすむことにつながるかなあ。
城 なるほど、それもあるよね。
ところで、斎木さんがコーチングを通じて
社会で実現したいことってどんなことがある?
斎 やっぱり私自身の経験からも言えるけど、
自分のリソースをちゃんと認める、
認めて、そのリソースを開花させて自立している、
そんな人が社会の中にたくさんいればいいな
っていう気持ちかな・・・
城 すごい社会貢献だね。
斎 人は自分のリソースをね、
開花させる責任がある、っていう気がするのよ。
城 お~・・・
斎 なんか、勿体ない気がする。
埋もれてるのが。
リソースが埋もれたまま死んじゃうっていうのが。
もっているものをフルに発揮する。
「スイッチ! 自分の手で!」って感じかな。
「スイッチ、どこにあるの~」って探して、
開花して自立する。
好きなことをして活き活きしている人を
1人でも増やしたい。
そういう人は自然と社会に対する目も
開けてくるんじゃないかなぁって
気もするんですけど。
城 そうだろうね。
自分でスイッチを押してね・・・
斎 自責。
コーチングでそれに気づくことが
できるんじゃないかって思うんだけどね。
城 副産物かもしれないけれど
生まれるんじゃないかって。
斎 コーチングでは、常に
「あなたはどうするの?」って聞くからね。
それによって自責の人間になるってことは、
道が開けるってことにつながる、と思いますね。
他人の言動に左右されない人。ぶれない人。
そうしたら自分で道を探していける。
そういう人を1人でも多く、
コーチングで作れるんじゃないかって思う。
城 作れるよね、きっと。
これまで斎木さんがどういうふうにコーチングに
取り組んできたか、社会にどう働きかけていくかを、
聞いてきたんだけれど、今度は、コーチングを受けてみたいと
思っている人にメッセージを。
斎 「どうぞお気軽に」ですね。
きっと自分のね、思いがけないいいところ、
リソース・・・思いがけない自分の中の宝物を
いっぱい発見できると思う。
城 ああ、そうだね。いいね。
斎 言えてるでしょ?
「宝物があるっていうのを知らないかもしれないけど、
それがコーチングで発見できますよ」って。
確実に。
城 じゃあコーチングをこれから勉強したいって
思っている人にはどんなメッセージを?
斎 まあ、「やってみれば」って感じなんですが。
「深めるのも、浅くするのも、あなた次第ですよ」
って言いたい。
城 あ~・・・、大変意義のあるお言葉。
そうだねぇ・・・
斎 「それぐらいすごく深いものだよ」って。
「底知れないくらい深いものですよ」って
いうのを言いたい。
城 斎木さんはすごく深まった感じがある?
斎 いや~、
ただ「深いな~」っていうのは知った気がする。
城 コーチング勉強して、すぐ
「はい、分かった! はい、学習終わり」って
いう人もいるもんね。
斎 そうそう、いる~。
城 あれは単に入口だったにすぎないのよね。
それも選択肢の一つでもあるかもしれないけどね。
斎 だから深くするのも浅くするのも
その人の用途と希望と好みで
変わってくるだろうから。
それに応じて伸び縮みするもの、じゃないかな。
それだけのものを手に入れられるのよ。
浅くしたたら、浅くした分だけ、
深くしたら深くした分だけきっと、
手に入れられるものが
あるんじゃないかなって思うんだよね。
城 いい言葉だね。
さて、以上で、質問は大体終わりなんですが、
他に斎木さんが言い足りなかったこととか、
何か付け加えることはあります?
斎 あ、私、いま吉田松陰がすごい気に入っちゃって。
城 吉田松陰、気に入ってくれた?
いいでしょ?いいでしょ?
(注:司馬遼太郎著『世に棲む日々』は
幕末の長州藩の吉田松陰と高杉晋作を
描いた時代小説。インタビューの数日前、
城田が読んで感動し、斎木さんに話したところ、
彼女も読んで感動した、ということがあった)
斎 司馬遼太郎が、吉田松陰の
学びということについて
書いてるエッセイがあったの。
松陰は分かりにくい。
書き残しているものも、
ほとんど当時の時局問題に関することなので、
現在の私たちにはつかみづらい。
でもなぜ、あれだけ松陰は人に影響を与えたのか、
人が人に影響を与えるとは、どういうことなのか、
というのが『世に棲む日々』のテーマだったんだって。
で、いろいろな時代的な要素と
松陰の知的レベルの高さというものもあったろうが、
それよりも松陰自身の人柄がすばらしくて、
接した人は影響を受けずにはいられない、ということ。
その基本となったのが、
松陰が小さい頃から言われていた、
私と公の区別、「お前は公のことを考えなさい」と
言われて育ったこと、そしてその他に
どの人に対しても親切で、明るくて、やさしいという性格。
これがすごく大きかったのではないか、と。
それと、知的好奇心が大きかったこと・
観察力が鋭かったこと・
柔軟なものの考え方ができる、っていう三つ。
そして、その他に大事なことが、
松陰はいろんなことを学んだあとで、
自分の中でそれを受け入れて育むことができたと。
右から左へ流すのではなく、
自分のの中で熟成させた、と。
城 確かに熟成感があるよね、吉田松陰って。
育む力って、すごく大事なことだね・・・
斎 そうそう、その文章に線引いちゃったもん、私。
あと、松陰は自分はいかに生きるべきか、
そういう人生の意味というものを
ものすごく真剣に考えいた。
これらが混じって、玲瓏な玉のような
人柄を作ったんではないかって。
城 それがあんなに優れた人たちを生み出した。
斎 松陰は人をひきつける磁石のようになっていた。
だから実際に接した人は
その影響力をみんな浴びたんじゃないかって。
城 すごい人だね。
斎 そう言うのを見てなるほど~って思って。
育むって大切。
城 育みたいよね、私たちも。
さて、そろそろお時間ですが。
何か言い足りないこととかはあります?
斎 いや、とても楽しく、お話させていただきました。
城 私も楽しかった。
どうもありがとうございました。
08.10.15 水 | 00:41
コーチングドラマ 「高知 護」 第一回
高知 護(こうち まもる)は
某食品メーカー人事部所属、
能力開発グループのマネージャーである。
5年前からコーチングを学び、
コーチングの有効性を社内で提唱し、
現在は社員の能力開発の一環として、
社員を対象にコーチングを提供している。
いわゆる企業内コーチである。
さて、今日のクライアントは・・・
仕事のできる女性営業部員、葵が、
上司との関係がどうもうまく行かず、
高知のところへやってきた。
「高知さん、こんにちは。お久しぶりです」
「ああ、葵さん、こんにちは。本当に久しぶりですね。
たしか3年くらい前の会社の忘年会で、
席がたしか同じテーブルだったんですよね」
「そうそう、そうでした。あのときは楽しかったですね。
このところ会社の業績が悪いから、
もうあんな盛大なパーティはないですよねぇ」
「う~ん、そうかもしれないね。
また会社であんな楽しい催しがあるといいですね」
「ほんとですよね。それにはなんとしても売上ですね。
私たち営業部は今期かなり頑張ってるんですよ。
・・・でもね・・・」
と葵は急に表情が暗くなって小さなため息をついた。
「でも・・・?」
高知も少し息をついて声のトーンを落としてたずねた。
「ええ。実はそのことでちょっと行き詰っていて、
今日はコーチングをお願いしに来たんです」
「そうだったんだ・・・何かありそうですね。
葵さんはとても前向きな人だから、
このコーチングできっといい考えが見つかりますよ」
葵は少し気持ちを取り直して笑い、
「ええ。それを期待して来たんです。
高知さんがコーチでよかった。
よろしくお願いします」
「僕こそ、葵さんを支援することができて嬉しいです。
こちらこそよろしくお願いします」
葵はさっそく話し始めた。
普段から有能なセールス・パーソンとして
活躍しているだけあって、はきはきした口調である。
「この間、大きな人事異動があったじゃないですか」
「ええ、ありましたね」
「それでうちの営業部の部長が栄転で、
シンガポール支社の支社長になって、
そのかわりに新任の部長が来たんですよ。
北村さんっていう、購買から来た人。
この北村さんが・・・はっきり言って、
全然頼りにならないんです。
お客様のところへも行きたがらないし、
営業部員への指示もあいまいだし・・・
この前私に目標設定面談をしてくれたんですけど、
なんだかちっとも具体性がないし、
私のことをあまり評価していないみたい。」
「そうですか。。。
北村さんという新任の部長が、
お客様のところへも行きたがらないし、
営業部員への指示もあいまいで、
しかも葵さんのことも評価してくれないんですね?」
「ほんと!そうなの!
前の部長はすごくよかったのに残念だわ」
「それは残念だ」
「それにね・・・ここだけの話だけど、
北村さん、うちの女性営業部員のひとりとね、
不倫しているんですよ!」
「不倫!?」
「この間も二人でそろって休んだり、
あるときは朝、そろって二人で出社したり、
そんなことがあったんですよ!
もうみんなにバレバレなのに、
こそこそして馬っ鹿みたい。
もうやめてほしい!
仮にも部長の立場なのに、
そんなのってどう思います!?」
「葵さんは許せないって感じですね」
「そうですよ!
モチベーションがさがりますよ。
考えただけでもぞっとする!」
「モチベーションは下がるし、
考えるとぞっとするんだね・・・」
「ええ。まあ・・・ただ、それは仕事には
直接関係ないって言えばそうだけど。。。
そうそう、今日は仕事のことで話したかったの」
「仕事のことですね」
「北村部長がお客様のところに行かなくて、
私、本当に困っているんです。
新しく部長になったら普通、
お得意様のところとかへ、
まずは挨拶にいくのが営業でしょう?」
「なるほど・・・
北村部長はお客様のところへ、
新任の挨拶にも行かなくて、
葵さん、本当に困っているんですね」
「そりゃあ、そうです。
お客様からは
『あれ、部長変わったんじゃなかった?』
なんて言われて、そのたびにひやひやします」
「そりゃあ、ひやひやするでしょうね。
それで葵さんは、これからいったいどうするつもりなの?」
「そうなの。それがわからなくって困っているの。
どうしたらいいのかしら・・・
今日はそれを見つけたいわ」
「わかりました。
今、葵さんが困っている状況の中で、
どんなことができるのか、一緒に考えましょう」
「ありがとうございます。
このままだとモチベーションが下がって
本当にいやなんです、今の状況」
「いつもモチベーションにあふれている葵さんが、
今回はとても困っている様子ですね。
葵さんにとって、どんな状態が望ましいんでしょうか?」
「前みたいに、部長とコンビを組んで、
お客様のところにどんどん出向いていって、
契約をばんばんとりたいです」
「そうですか。
ずっとそうしてきたんですね。
お客様のところにこれからもどんどん行って、
契約がばんばんとれると、どうなるんでしょう?」
「会社に貢献できるし、それに・・・」
「・・・それに・・・?」
「私、いつかは管理職になりたいんです。
転職とかはあまりしたくないし、
うちの会社が好きなので、
ずっとここで働きたいと思って・・・。
だから私、ここで成長したいんです」
「そりゃあいい。葵さんらしくて」
「そうですか? そう言われると嬉しいな・・・。
私もっともっと活躍したいんです」
「葵さんは未来志向で素晴らしいなぁ」
「あくまでも夢、なんですけどね。
現実は、今話したようなこんな状況です」
「じゃあ今の状況がどんな風に変わったら
葵さんは夢に近づけるのかな?」
「・・・・・・」
と葵は沈黙してしまった。
どうやら表情からして、
葵は一生懸命解決策を
ひねり出そうとしている様子。
高知は黙って待つことにした。
つづく
08.09.14 日 | 19:03
今日のコーチ 第1回: キリンビール株式会社 山下勉さん
「100万人のビジネス・コーチング」第2号 掲載 (2008年9月15日発行)
コーチング界の真の実力者の登場で
初回を飾りたいと思い、この方にインタビューしてまいりました。
キリンビール株式会社営業部営業企画担当
教育研修担当 山下勉さん
PHP認定上級ビジネスコーチ
米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー
私はPHPのビジネスコーチ養成講座の修了生で、
山下さんは私の先輩にあたります。
PHPの修了生で彼を知らない人は、
まずいないのではないでしょうか。
これを読んで「あ!山下さんだ」と
今思っている方も多いでしょう。
コーチの仲間の中でも山下さんは
常にリーダー的存在です。
忙しいスケジュールの中、コーチングの
勉強会にもよく参加されています。
勉強会では仲間同士で組んで
コーチング・セッションの練習をするのですが
山下さんとお願いしたい、という人が
毎回殺到する人気ぶりです。
真のリーダーシップをコミュニケーションにのせて、
多くの人を支援している山下勉さん。
私が尊敬しているコーチのひとりです。
山下さんの持ち前のユーモアとパッションがあちこちに
ちりばめられたダイアログをご堪能下さい。
以下会話中、城田→城、山下さん→山(敬称略)となります。
城 「具体的にはいつ、どんな状況で、誰に対して
コーチング的なコミュニケーションをしているんですか?」
山 「一番多いのは仕事の相談に来た人に、ですね。」
城 「それは部下の方?」
山 「そうです。あとは、飲み会のときなんかも(笑)」
城 「飲み会ですか?(笑)」
山 「そうそう。ものごとをポジティブにとらえる
というコミュニケーションがベースになっている、
という点で、コーチングっぽくなっていると
言えるかもしれません。
昼ごはんを食べに行く時ときとかもそうです。
と言っても特にコーチングをして会話している
ということではないんですが。
コミュニケーションそのものが肯定的に
なっているということでしょうね。
今こうして考えてみると、ほとんど私の会話って
否定がないと思うんですよ。
物事を肯定的にとらえて肯定的に
表現するということなんでしょうね。
家でもすごいポジティブだって言われますね。」
城 「いいですね。
コーチングを始める前と後とで
どんなことが変化しました?」
山 「コミュニケーションそのものが激変しましたね。」
城 「激変・・・ですか。」
山 「変わったことはたくさんあるんですけど、
ひとつは、共に勝つという人生を生きる
ということがわかった、ということが一番大きいかな。
それまでは勝ち負けだったんですよね。
要するに、自分が勝つということは
誰かが負けてて、誰かがうまくいって
いるっていうことは自分が負けているっていう
感じがしていたんですよ。
それが、相手が勝利することを通して
自分も勝てるんだとか、自分が勝利することを
通して相手にも勝利を与えられるって
いうことがわかってきましたね。
全員が勝つという状況を本当に
作れるんだっていうことが。
例えば会社でも、自分のメンバーを勝利に
導けば自分が勝利するわけじゃないですか。
だけど昔は自分の仲間がいい成績を出すと、
なんだか自分が負けてる気がしていたんですよね。
ライバルだったわけ。
後輩でも成績がいいとすごいライバル心が
あったりするわけですよね。
僕の中に。。。
でも今はその人が伸びていく、
力を発揮すれば最終的には
自分に返ってくるっていうことがよくわかりましたね。
だから、相手を勝たせるっていうことは
とても重要だと思うんですよ。
だからコーチングの研修とかも
やるようになったと思うんですよ。」
城 「というと?」
山 「それまでだったら、
『コーチングっていうのは自分だけが
学習したことだから、そう簡単に人に教えるかよ、
俺が勝つためのテクニックなんだから。
これを人に教えたらこいつらも
使っちゃうから絶対教えない』
っていうような」(笑)
城 「え~!?」(笑)
山 「そんな人間だったんですよ(笑)。
いや、そう言う側面もあったってことね。
でも、今はコーチングを自分が
社内の人よりもたまたま先に学習して、
少し知識も増えて、それを自分が
情報提供することで、自分のまわりの人も
みんなコーチングを使えるようになったら、
会社もものすごく業績があがるんじゃ
ないかなって思うんですよ。
あるいはそこにいる人たちが生き生き
働くんじゃないか、または主体性をもって
働けるんじゃないかって。
だから情報っていうのはどんどん提供して
いくほうがいいなって思う。
自分がめざしたいのが、そういう人や
組織を作っていくっていうことだから、
それにつながっていくっていう点では
自分も勝利じゃない?
そういうことができるようになりましたね。」
城 「大きな変化ですね。」
山 「それは多分自分の内側の豊かさを
ちゃんと自分で受け取れるように
なったからだと思います。
自分には価値があるっていうことが
少しずつわかってきたってことかな。
それまでは自分の内側の会話がね、
自分に対する命令だったり、
叱咤激励だったりね。
『まだこれしかできていない』
『こんなんじゃだめだ』 『もっとやれ』とかね。
内側の会話をそうすることで
奮起していたっていうか。。。
それが、これしかできてないっていう会話から
『ここまでは出来ているよね』っていう
会話になりましたね。
そうしたら
『もうちょっとそこを延ばしていけばいいじゃん』
とか
『一年前よりは、これ、うまくなっているよね』
っていう、会話が自分の中でできるようになりましたね。」
城 「山下さん自身が本当にすごく変わったんですね。」
山 「すごく変わりましたね。非常に変わりました。」
城 「それでは今度は山下さんがコーチングを
通じて他の人に変化を起こしたようなことを
教えてもらえますか?」
山 「う~ん。。。
特にこれっていうのはないんですよ。
常に機能しているなっていう感じですね。
たとえばコーチングをした後、
相手には何かしらの行動変容があって、
その人は一歩も二歩も目標に近づくわけですよ。
あとは通常のコミュニケーションの中で、
すごいネガティブだった人がね、
急に視点が変わって急に表情や
声のトーンが変わって明るくなって
前向きになるっていう瞬間がある。
きっと、常にコーチングが機能するように、
コミュニケーションをしているんだろうなって思います。
長いレンジで考えると、過去でも現在でも
自分のメンバーがどんどん変わっていくって
いうのを見るのは嬉しいですよね。
もちろん僕一人の力じゃないと思いますけど。
例えば一年半前には僕に答を求めにきていた人が
今は自分の意見を僕に言うとかね。」
城 「すごい変化ですね。」
山 「あるいは自分で決めるっていう能力を
今まで封印していた人たちが、
自分で決めるという能力を
発揮するようになったとかね。
つまり主体性が出てきたってことなんだろうね。
そういうのは長い期間を通じて
やり続けることで変化をつくっている、
変化やサポートができているなって思います。
『これが!』っていう大きいインパクトの
ものはないんですけど。」
城 「結構さりげないものなのかもしれませんね。」
山 「時間をかけて気が付いたら
すごい変わっていたということはありますね。」
城 「そういう変化を引き起こすコミュニケーションを
する上で、山下さんが意識して
行っていることって何ですか?」
山 「これはね・・・われわれのトレーナーでもある
田近さん(注:PHPビジネスコーチ養成講座の担当トレーナー)に、
自分がコーチングを学習しているときに
教えてもらったことがあるんです。
『コーチングは、意図とスキルとダンスだ』と。
それをすごく無意識領域の中で意識しているというか。。。
振り返ってみると普段気をつけているのは、
『意図とスキルとダンス』かなって思うんですね。
意図というのはコンテキスト、要するに
クライアントが作りだしたい成果に
明確なコンテキストを作って、
そのコンテキストに沿って論理レベルを
コントロールしていく、そういうことだと思うんですね。
スキルっていうのは成果に導くために
自分が学習したいろいろなスキルの中の
何を出すのかを瞬時に判断して使う、
ダンスというのは相手とペーシングを
するっていうことだと思います。
ペーシングにはすごく気をつけますね。
それはとても意識しています。
ふるまいとか、あと呼吸はよく見ますね。」
城 「意図とスキルとダンスね。
確かにそれがすべてかもしれませんね。」
山 「田近さんから教えてもらった中で、
印象に残った多くのことのうちのひとつですね。」
城 「 コーチ、あるいはコーチングを使うリーダーに
求められるスキルや能力で重要だなって
思うものはなんだと思いますか?」
山 「僕がもっとも重要だと思うのは、
その人のコーチとしての在り方だと思うんですね。
コーチとして生きているっていうことが
とても大事なんじゃないかなと思いますね。
生き方そのものにそれが表れていると思う。
例えば、
『今はコーチです』
『今、コーチングやってます』とか
『今はちがいます』
みたいなものではないと思いますね。
もちろんそういう選択もあるんだけど、
僕の場合はコーチングっていうのは
自分にとってインパクトが大きかったし、
それによって自分のコミュニケーションを
自分が望んでいる方向に変えられたと
いうことがあるので・・・やっぱりコーチとして
生きるっていうことですね。
それが最初の「常にコーチング」って
いうことにつながっていくんだけど。
常にそういう生き方をする、
そういうあり方をして、そういう生きかたを選択して、
だからやり方もコーチング的なやり方を
するっていうのかな、そういうコミュニケーションを
常にするっていうことですね。
あり方って一番大事なんじゃないかと思う。」
城 「山下さんがコーチングを通じて社会で
実現したいことって何でしょうか?
大きいチャンクでも小さいチャンクでも。」
山 「一番チャンクが大きいのは・・・ビジョンに
生きるリーダーを世界中に生み出すことですね。
その人たちが地球に虹を架けるがごとく、
やりとりをするっていうのが僕のビジョン。
だから僕のビジョンの映像っていうのは
七色の地球なんですよ。
日々流されて生きるのではなく
自分のミッションにスタンドして歩き続けるんです。
自らのミッションにスタンドして
ビジョンに生きるリーダー、
その人たちが世界中にあたかも
地球に虹を架けるがごとく、
つながっていく、でそのことによって
すべての成果を達成する、っていう
そんな感じ。」
城 「 リーダーたちがみんな
虹をかけているんですね。」
山 「そう。手に手をとり合って。
虹を架けるがごとく。
そういう世の中を作れればいいなと思っていて。
で、会社の中ではその第一歩というかね、
キリンの中にそういうリーダーを
作りたいと思うんですよ。
自分のミッションにスタンドして、
ビジョンに生きていくリーダーを
たくさん作りたい。
そのためにはそういう人たちを養成する
学校みたいなのをね、作りたい。
自分の中では
『キリン・ヒューマン・スキル・アカデミー』
って言ってるんですよ。」
城 (大笑い)
山 「別に僕が作っても、
僕じゃない人が作ってもいいんですよ。」
城 「あ、そうなんですね。」
山 「会社の中にそういうリーダーを
生み出す機関というのがあって、
そこで、自分が研修を企画したり運営したり、
講師をしたり・・・そういうのができたら
いちばん幸せだなぁって思いますね。
でそれは社内だけでなく、
社外の人にも開かれている。
人のコミュニケーションをあげていく学校をつくる、
それがキリンの中でできたら最高ですね。
目指しているんです。
みんなに言ってます(笑)。」
城 「今後、コーチングをクライアントとして
受けたい、という人に何か伝えるとしたら?」
山 「 受けたいなと思ったときが
一番旬なときですから、迷わずアクセルを踏んで、
コーチングを受けて下さい。
体験するっていうことが一番の学びになりますから、
受けてみるっていうのが一番いいと思いますね。
で、そのときに、僕の体験から言うと、
目標達成も問題解決もそれは自分自身が
やるんだっていう意識でコーチングを受けると、
より効果があがると思います。
コーチが目標を達成したり、
問題を解決してくれるのではなく、
自分がそれをやるという責任を引き受けて、
コーチングを受ける。
それはコーチングを受ける人に
その力があるから、
その力をコーチは引き出す、
そういう支援をコーチは全力でするわけですから、
自分が主体者になって
目標達成、問題解決をする、
そういう意欲があればたちまち変化が起きる。
待っていては変化は起きないですから。
コーチにしてもらうんではなく、
コーチを活用するっていう意識があるといいですね。」
城 「ではコーチングを学びたい、と言う人には
どんなメッセージがありますか?」
山 「 是非仲間としてともに学びましょう。
それが最初の思いですね。
そしてコーチングがうまくいく方法ですが、
私ももちろんまだ5年しかやっていないんですが、
その中の体験では、学び続けることが
うまくいく方法だということです。
多くの人がよく「半年学びました」とか、
「学んで終わり」。
じゃあなくて、学習の機会を作り続けていく、
あるいはそういうところに参加し続ける、
そのことが学びを深める。
同じ講座を何回も受けるっていうのもひとつです。
僕はPHPのコーチ養成講座の第4期に
参加してその後11期まで出たんですよ。
8回、行っているんですよね。
同じ内容を何回も聞いたりするんですが、
毎回学びが深まる。
あとは自分PHPの養成講座に
再受講生として行けば、
自分が先輩として貢献できる
という実感もあるし、
いい意味で緊張感も続きます。
そして自信も持てるし、もっと
学ぶっていう意欲も出てきますよね。
やっぱり継続するっていうことが
大事だと思います。」
城 「PHPのビジネスコーチ養成講座では、
修了後に次の期に再受講する人が
結構いますね。」
山 「僕の学習のやり方っていうのは、
同じ講座に何回もいく、
昔からこれが私のパターンなんだと思うんですよ。
いろんな講座をたくさん受けるっていう
やり方ももちろんあるし、
それはとても有効だと思うんですが、
僕は、例えば勉強するにも一冊の
問題集を三回やるとか、そういう学習の
しかたを親から仕込まれた(笑)。
もちろんPHPの養成講座に行って、
これは何回も受けた方が絶対得だって思ったし、
田近さんという素晴らしい方と出会って、
この人と一回じゃもったいない、って
思って何回も行った。
やっぱり同じ講座に何回も行くっていうのは
より理解を深めるポイントになるのかなって
気がしますね。
思えばPHPのビジネスコーチ養成講座は
自分の原点なんですよね。講座を
受けている時に、ここは自分の変化の
原点だから、必ずここにずっと戻ってこよう、
この学習はずっと繰り返していこうって、
講座の途中で決めたんですよね。
だから11期まで行けたんだと思います。」
城 「 継続することが大事なんですね。」
山 「あとは楽しむことだと思います。
あまり試験みたいにね、
『できる、できない』
とかじゃなくて、
『必ずうまくなるんだ』と。
間違いなく学習すればうまくなるんですから、
楽しむといいと思いますね。
できないことができるようになるんだから。」
城 「コーチングを学びたいと思っているんだけど、
なんだか一歩踏み出せない人って結構いますよね。
そういう人はどうしたらいいんでしょうね。」
山 「私のコーチングを受けると一番いいかも(笑)
そういう人は、本当に手に入れたいものと
向き合う、そういう勇気を発揮する、
あるいはそういう力を発揮するといいと思います。
なんでコーチングを学びたいのかって言うと、
それはもっとコミュニケーションがうまくなりたいとか、
あるいは社内でもっと成果を作りたいとか、
そういう学びたい理由が必ずあるわけで、
でそれが本当にやりたいことなんですよね。
だけど時間がないとか、または費用ががかかるとか、
あるいは『こんなことやって本当にうまく行くの?』とか
そういう不安もあるわけで、
でもそれらを握りしめている間は
本当にやりたいことには向かえないわけですよね。
本当にやりたいことに向かう人って、
それらを手放して本当にやりたいことを掴む。
どっちかなんです。
裏表なんですよ。
そっちを握っている間は本当に
ほしいものは握れないわけです。
それを手放してほしいものを掴めばいい。
それはそんなに難しいことではない。
ただそうすればいいんですよね。」
城 「インタビューもそろそろ終盤ですが、
これまでお話されたことの他に
何か付け加えたいことはありますか?」
山 「僕にとっては、やっぱりコーチングを
学習したっていうことは
大きな体験なんですよね。
コーチングっていうのは・・・
広義のコーチングと狭義のコーチング、
というのがあるとすれば・・・、
広義のコーチングを学習するということは、
コーチングのスキルを身につけるだけではなくて、
自分の人生と向き合うという、
そういう機会になると思うんですよね。
なんで自分は生きているのかとか、
自分が本当にやりたいことは何だろうかとか、
そういうことを考えるきっかけになった。
僕の場合はそういうきっかけになったんですよ。」
城 「 私もそうでした。」
山 「だから自分の人生観とか
世界観とかが変わったんですよね。
自分がこうなりたいっていう方向に
すごく変わったんですよ。
自分がこんなふうに生きれたらいいな、
こんなふうに話せたらいいな、って
そういうものをずっと望んでいたんですが、
ずっとふたをしていたんですよ。
それをコーチングを学習する過程の中で、
全部解放したというのかな・・・
僕の中では解放したっていう感じなんですけど。
それまでは解放せずに鉄のよろいを着ていて・・・」
城 「人生、勝ち負けだ!って?」(笑)
山 「そう(笑)。
で鎧の中は空洞っていうのかな・・・、
自分は空洞だ、自分にはあまり価値が
ないんじゃないかって勘違いをしていて、
だから鎧を着て守っていたんですよね。
見破られないように。
ところがコーチングを学習して、
自分の内側の会話が、
自分を責めたりするんじゃなくて
『ここまで出来てるじゃん』
『わりといけてるじゃん』っていう
会話をすることで、
『いいんじゃない?』
『今のままでいいんじゃない?』って
いうように思ったら、
だんだん鎧を脱ぐことが出来て、
本当の自分になってきた。」
城 「自由になった?」
山 「うん。自由になったって言う気がします。
だから当時は生きるのが楽になったって思いましたね。
もちろん今らくちんに生きている
わけではないんですけど、
もちろん生きていれば
いろんな事が起きるんですけれど、
でもすごい生きるのが
楽になったっていうのはあるなぁ。。。。
会社の中でも人生の選択でも
すごく変わりました。
昔は・・・誤解を恐れず言うとすれば、
偉くなるのがひとつのステータスだったんですね。
今は昇格よりもやりたいことがある、
って言ってもいいくらい。。。」
城 「優先順位の問題なんですよね」
山 「昇格もね、もちろんひとつの、
自分がやってきたことの結果であるけれど、
でもそういうものにとらわれなくなったって
言えばいいですかね。
本当にやりたいことを実現していくために、
それは自分が会社にどうやって
貢献していくかっていうことなんですけど、
自分がどうなるっていうことよりも、
自分のこのリソースを会社にどうやって提供して、
会社のビジョン実現のために、
何ができるだろう、って考えるようになりましたね。」
城 「ふうん。。。キリンさん、幸せだね」(笑)
山 「 ははは(笑)ほんとですよね。
会社とか、会社を通して世の中に、
どういう貢献ができるのかっていう、
そういう発想になりましたよね。」
城 「自分というシステムから
ひとつ上のシステムに行った感じですね。」
山 「そうそう、そうですね。
自分はシステムの一員であるという
謙虚さも持てるようになりました。
前は俺がどう生きるか、だったんですよ(笑)。
すごい小さいところで生きていたなって思う。
自分が貢献できるっていうことがわかった、
あるいは貢献するっていう気持ちを
解放できたってことかな。
今までは『貢献なんてとんでもない』って感じで
『私は何にもできません』ってね、
でもそう言う風に言っているほうが
楽なんだってことが逆にわかったわけですよ。
『貢献する』って決めた方が、
自分の貢献度合をあげていく必要が
あるわけじゃないですか。
学習もする必要もあるし、
いろんなことをいろんな分野で学ぶ必要が出てくるし、
あるいは自分を高めていくっていう
生き方を選択する必要があるわけで、
それって何もできないって言っている人よりも
はるかに大変ですよね。
何もできない人は何もしなくていいっていうのも変だけど、
『できません』って言っていれば
やらなくていいところに自分はいるわけだから。
でも『できます』って言ったら
それはできる必要があるわけですよ。
でもそういう生き方を選択した方が
豊かだなって思います。」
城 「確かに自分が社会の中で
役に立つ存在になる、というのは
人生が豊かになりますね。
今日はいろいろとためになるお話を
ありがとうございました。」
山 「こちらこそありがとうございました。」
08.09.04 木 | 13:13
Hula と 私と笑顔
今年の初めから、フラを習い始めました。
それまで、踊りというものをまったくしたことがありません。
40半ばを過ぎて、大丈夫かなぁと思いましたが、
まずはやってみよう、と始めたのです。
毎週一回、恵比寿にあるハラウ(フラの学校のことです)に、
半年間、通っています。
体を動かすものはすべて苦手な私。
フラを踊るのも一苦労です。
レッスン中も先生から何度となく注意をされます。
そのひとつが「笑顔」。
私はずうっと同じ表情で、笑顔もなく踊っているそうです。
自分でももちろん自覚しています。
先生は「せめて笑顔で踊りなさい」と言われます。
私ももっともだと思うのですが・・・
私は仕事で人と多く関わるので、
笑顔を絶やしたことはほとんどありません。
それは意識的ではなく、もう自然に人と向き合うと、
自然と笑顔になれるのです。
私のことを知っている人で
「城田さんと言えばあの笑顔」と言ってくださる方も
多くいらっしゃいます。
その私がフラでは笑顔を作れない。
私を知っている人はちょっと驚くかもしれません。
フラを踊っている私は、まだまだ未熟で、
先生に注意されるかな、とびくびくしたり、
振りをきちんとできるか、ということに集中してしまって、
言わばいっぱい、いっぱいの状態。
笑顔を作ろうとしてもうまくできません。
それは私の心が安心をしていないからなんですね。
研修やコーチング、キャリアカウンセリングで、
笑顔のない人をときどき見かけます。
その方たちもきっと、いっぱいいっぱいな状態なのかもしれませんね。
好きで始めたフラなので、少しずつでも上達して、
いつか、安心して笑顔で踊りたいなぁと思っています。




